義理人情に厚いヤクザの親分・阿岐本雄蔵のもとには、一風変わった経営再建の話が次々舞い込んでくる。今度は町の小さなお寺!? 鐘の音がうるさいという近隣住民からのクレームに、ため息を吐く住職。常識が日々移り変わる時代のなか、一体何を廃し、何を残すべきなのか――。


     17

 奥の部屋に日村も呼ばれた。
「おう、茶はいいからな」
 若い衆にそう言うと、阿岐本はドアを閉めた。
 阿岐本と永神がテーブルを挟んで向かい合って座った。日村は立っていたが、阿岐本に「座れ」と言われて、ソファに腰を下ろした。
「その顔を見りゃあ、大事だってことはわかる」
 阿岐本が永神に言った。「いったい、何事だ?」
「高森浩太ってやつのこと、調べろって言ったよな?」
「ああ」
「そいつ、関西系の直参だ」
「ほう……」
 直参というのは、組長から盃をもらっている者のことだ。当然、幹部ということになる。
 永神の説明が続いた。
「二代目花丈(はなたけ)組組長で、本家の若頭補佐だそうだ」
 直参と呼ばれる構成員は皆、自分の組を持っている。つまり二次団体の組長だ。本家とは一次団体のことで、高森はそこで若頭補佐をやっているという意味だ。