もう一つの大切なこと

もう一つ、おばあさまが教えてくれた大切なこと。それは、パリジェンヌは「年齢を重ねても美しい」のではなく、「年齢を重ねるからこそ美しい」ということです。

それは「老けると劣化する」という私の先入観を根本から覆してしまうような、世紀の大発見でした。

職場でも、とりわけ目を引くのは年配のパリジェンヌです。「あっ、素敵だな」と皆が振り返るのは例外なく、若い「マドモワゼル」ではなく、「マダム」と言われる年代の女性なのです。

そんなマダム達は、決して「おばさんっぽい」服を着ることがありません。ハイヒールでも、ミニスカートでも、胸元を大きく見せる服でも、自分が良しとしたモノは平気で着ます。

そして妥協することなく、自分が心地よいと思うことができる形、色、そして素材を選び、自分に合うモノを追い求め続けています。

幾つになっても「年相応」の服ではなく、「自分相応」の服を貫いているのです。

自分らしい生き方を貫く勇気と気概。そんなことを教えてくれたおばあさまは今日もサングラスをつけ、ヒールを履き、近所のパン屋さんにバゲットを買いに行きます。

 

※本稿は、『パリジェンヌはすっぴんがお好き』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。


パリジェンヌはすっぴんがお好き』(著:藤原 淳/ダイヤモンド社)

ルイ・ヴィトン本社に17年間勤務しPRトップをつとめた「もっともパリジェンヌな日本人」が、どうすれば自分なりの生き方を貫くことが出来るのかを提案する本。悩みも愚痴もため込まないパリジェンヌの生き方、恋愛、仕事術を学び、日々の生活で簡単に実践できる本です。