時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは大阪府の80代の方からのお便り。人の役に立ちたいと、近所の知人の「買い物代行」をしているそうで――。
買い物、引き受けます
私はお節介なのか、近所の知人の「買い物代行」をしている。前に住んでいたところでは2人、現在の居住地では5人。
始めた当時、私は自転車に乗ることができていたので、道で重そうな荷物を持っている知人に声をかけずにはいられなかったのだ。今住んでいるところは、買い物ができるお店まで距離がある。ひとり暮らしで足や腰、心臓などの悪い人も多い。
私はもう自転車はやめたが体は元気なので、リュックとショッピングカーをバスに積んで買い物へ。知人、友人に「何か欲しいものはない?」と声をかけると、喜んで頼んでくれるので、可能な限り手伝っている。
困ってしまうのは、一人一個しか買えない超目玉商品を頼まれること。私も買いたいのだ。「なんでもいいから安くてうまいものを」と頼まれることもあるが、これもなかなか難しい。
また、代金をいただくとき、お札を出されることが多いのもひと苦労。おつりを計算して、用意しておかねばならない。いい頭の体操になるが、計算が合っているか心配になる。
最近新しく買い物を頼んできた知人は、複数のレシートを自分で合計し、小銭もしっかり用意してくれるので、とても助かる。大事なのは、決済はその月にすること。お互いに忘れやすい年齢なのだ。
母は生前、「年を取ると、人の役に立てなくなるのが悲しい」とよく言っていた。まったく同感である。今のところ私は、ほんの少しだけど役に立てていることを嬉しく思う。