退任する先生への「お礼」について、LINEのグループ内で色々な意見が飛び交い…(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
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まとまらない!

朝7時、スマホの着信音が鳴り続けている。画面を見ると、LINEの通知が30あまりも。参加している公民館の文化サークルの、連絡用グループである。

退任する先生への「お礼」について、みなに意見を聞きたいという呼びかけに、ほぼ全員が答えていた。

お礼をすべきか否かというところから、お渡しする時期について、さらには気の早いことに、「この商品を贈りたい」と画像を送る人もいる。「先生は区からお金をもらっているので、私たちがお礼をする必要はない」という人もいて、まとまらない。世話役は大変だ。

私は、公民館の体操サークルの世話役をしていた母を思い出した。30年ほど前のこと。当時の連絡手段はすべて固定電話で、サークル内の人間関係についての相談が多かった。男性会員もいたので話はややこしい。

決定的なできごとは、忘年会の準備の時期に起きた。取りまとめをしていた母にかかってくる電話は、初めはお酒を飲む人、飲まない人の金額の差について。ところが徐々に、「私はあの人が嫌いなんだ」といった愚痴に変わっていく。

夕食時でもお構いなくかかってくるので、食事の準備ができていないと父が何度も怒った。すでに働いていた私、兄、妹も同様に文句を言う。

そんなある日、ついに思い詰めた母は夕食に出前をとり、「直接会って話す」と言ってタクシーで出かけて行ったのだ。その後、母は世話役を降り、サークルも辞めた。

なぜ私は母に、「人の言うことなんて気にしなくていい」と言ってあげられなかったのか。今になって後悔している。

今回世話役の人はまた大変な思いをするだろう。時代は変わっても人と人との関係は難しいものだ。


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