あばれる君の妄想
話を戻すと、僕は特にお父さんと子どもの2人で遊びに来てくれているパターンに弱い。たくさん妄想してしまいます。
普段、仕事で疲れているお父さんは子どもと最近あまり遊んでいないことに気づく。
そんなとき、あばれる君が近くの複合施設に来るという告知が目に入る。
(普段からポケモンとか好きだし、教えてあげたら喜ぶかな?)
わが子を喜ばせたい一心で、そのお父さんは子どもに相談する。
「あばれる君が来るらしいよ。一緒に観に行く?」
「ええっ!? 本当!? 行く!!」
週末まで胸躍らせてその家族は過ごす。
当日は、興奮で早く起きるはず。整理券配布の時間に合わせて家を出発し、無事に整理券を手に入れて、ステージの時間までキラキラした施設を巡って待つ。
すみません、ハンカチを貸してもらえませんか……? 妄想で涙が出てきました。
息子の笑顔を見たい父とあばれる君を見たい息子。
そしてその2人を想像して涙が込み上げるわたくし、あば。
そんな期待に溢れた家族連れが、たくさん観に来てくれるのだから手は抜けません。
少しでも週末のいい思い出になってくれたらいいな。
※本稿は、『自分は、家族なしでは生きていけません。』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。
『自分は、家族なしでは生きていけません。』(著:あばれる君 イラスト:和田ラヂヲ/ポプラ社)
ひとり暮らしのときは家族の大切さなど考えたこともありませんでした。
そんな僕に人間的な思いやりを教えてくれたのは、僕の妻と、息子たちでした――。
あばれる君はじめての書き下ろし「家族」エッセイ。