子どもは“保身”で迫る
ここで、子どもの立場からも考えてみましょう。親に終活を促すのはなぜでしょうか。たいていはわが身可愛さの保身です。親が亡くなった後、実家の片付けや遺品整理をするのは大変。今のうちに面倒を減らしておきたいといった思いがあるのではないでしょうか。
もしくは、両親亡き後、叔父や叔母といった親戚たちから横やりが入り、「なんで終活をするように言っておかなかったの?」などと小言を言われるのがイヤなのかもしれません。いずれにせよ、子どもたちは少しでもラクをしたいからというのがホンネ。親が元気なうちのアドバイスならともかく、介護が必要になりそうな状態の親に「早く終活を」と促すのは、親孝行でも何でもありません。このタイミングでの子どもたちの意見を尊重するのは、不幸ぐせでしかないと思います。
でも、だからといって、終活をしなくていいと言っているわけではありません。残った人に迷惑をかけて当然という考えはもってのほか。大事なのは、誰かに言われたからではなく、自分で気づいて、早く対処することです。
例えば、年齢とともに判断力が衰えてきたなら、運転免許証を自ら返納するのも一つでしょう。昨今、ニュースでもよく取り上げられるように、万一、事故でも起こせば一大事。自分だけのケガでは済まない場合もあるのです。