瑛介からのビデオ通話、そこに映る姿は…
あっという間に一日が過ぎ、博多の母と私が何でもない話をしながらゆっくり過ごしていた夜。
瑛介から珍しくビデオ通話がかかってきた。
携帯をとるとそこには…
三蔵法師!!!!!!!
色白坊主頭の瑛介が、頭カキカキ、映っていた。なぜかきっちり母に向かって低いダミ声で
「こんぶぁんうぁー」
母、顎外れる。声が出ない。
異変に気づいた祖母、携帯を覗き込んで咄嗟に手を叩き始める。
「似合ーうじゃーーーん!!!」
やっと口から出た高い声のひと言、平たい。
パッと見た印象は、そこそこ大きくなった体が余計ガタイ良く見えるようになったこと。
すぐにそう瑛介に伝えると、デカい体をくねらせて大喜び。
やっぱり男の子は「体大きいね」と言われるのが大好きなのだ。
でもすぐにわたしの脳裏には、日中ギュウウと押さえつけられて父にバリカンで刈られている地獄絵図のような様子が浮かんでしまった。
ぎゃあぁぁ!瑛介の悲鳴と共に。
ところが想像とは真逆で、瑛介自ら「坊主にしてくれ」と父に頼んで、大人しく座って充電が足りないバリカンで何度か中断しながら父に刈ってもらったのだという。
そう言えば小6くらいまで平気で家で坊主にしていた瑛介。
久々にえいやー!と刈ってみたら意外にも見慣れていて、自分でもサッパリスッキリ、気分が良いんだそうな。
不思議なことに、長いこと坊主に抵抗していたのについに頭を丸めた瑛介の顔は、恥ずかしそうにはしていても目つきがしっかりして見えた。髪の量が一気に少なくなった以上に、これまで必死にこだわってきたものをついについに手放した「清々しさ」のようなものが伝わってくる。
なあんだ、手放してみたら楽だったじゃん。
そしてそれはきっと、最後に自分で決めたから清々しいのだと思う。