運転を「やめるほうがいい」はどこで判断すれば?
⇒1件の重大事故の背後には300もの事故寸前がある
高齢ドライバーによる交通事故の発生原因は、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」や「わき見や考え事などによる発見の遅れ」など、さまざまなパターンがあります。
そうした状況をもたらすのは主に、記憶力、判断力、注意力など認知機能の低下です。しかしそのほかにも視力や聴力、筋力の低下、反射神経が鈍くなるなどの身体機能の衰えや、脳梗塞や高齢者てんかんといった病気も考えられます。
そこで具体的に運転のリタイアを検討する一つの目安が、ヒヤリとしたりハッとしたりするような危険な体験が増えること。
1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその陰には事故寸前だった300件の異常事態、つまり“ヒヤリハット”が隠されている。これは「ハインリッヒの法則」あるいは「1:29:300の法則」と呼ばれる有名な法則です。
ドライバー自身が自分の運転に不安を感じる場合は、「運転時認知障害早期発見チェックリスト30(http://sdsd.jp/untenjiniunchisyougai/checklist30/)」(NPO法人 高齢者安全運転支援研究会)を使ってチェックしましょう。
「スーパーなどの駐車場で自分の車を停めた位置がわからなくなることがある」「右折時に対向車の速度と距離の感覚がつかみにくくなった」など、30問中の5問以上にチェックが入ると要注意です。これは専門医への受診を検討する際の目安になります。
しかし高齢の方に自分で細かいリストをチェックしてもらうように頼んでも、面倒がられるかもしれません。そこでぜひやっていただきたいのが、リストをもとにした家族による判断です。
できれば親の運転する車に何度か同乗し、本当に危険かどうかを見極めるのが確実です。実は親も内心では運転に不安を感じ始めていて、返納のきっかけを探しているという場合もあります。
【家族によるチェックポイント】
□ 車間距離を一定に保つのが苦手になった
□ 車庫入れに時間がかかるようになった
□ 運転中にミラーをあまり見なくなった
□ ウインカーを出し忘れることがある
□ 駐車場の枠に合わせて車を停められない