大覚寺「観月の夕べ」で平安時代のお月見を

『光る君へ』には、まひろや道長が月を見上げて、相手に思いを馳せる場面がよく出てくるのですが、大覚寺はお月見の名所としても知られています。

嵯峨天皇が大沢池に舟を浮かべて、中秋の名月を愛でたという故事から、現在も「観月の夕べ」が開かれており、五大堂には池に張り出すように「観月台」も設けられています。

中秋の夜、大沢池に浮かべた龍頭鷁首舟(りゅうとうげきしゅせん)から、空に輝く月と水面に映る月影、その双方を眺める。平安貴族の気分になって雅な時間を過ごすことができる、京都ならではの行事です(今年の「観月の夕べ」は9月15日~17日開催)。

ところで、龍頭鷁首舟とはどんな舟か、ご存じでしょうか。「鷁」とは想像上の水鳥の名。風波に耐えてよく飛ぶことから、水難を防ぐとされているとか。つまり、龍頭鷁首舟とは、竜や鷁の頭部の像を舳先(へさき)に飾った舟のこと。その上で雅楽を奏したり、舞をさせたりして、風流を楽しむためのものだったのです。

『紫式部日記』には、道長が、新たにつくった龍頭鷁首舟を自邸の池に浮かべてみるという場面が描かれています。ひょっとすると『光る君へ』でも、今後、この龍頭鷁首舟が登場するかもしれませんね。