大庭梅子の家庭の相続問題
第61回(1949年)から再登場した同級生・大庭梅子(平岩紙)も置かれた立場が複雑だった。この物語に梅子が帰ってきたのは夫で弁護士の徹男(飯田基祐)が亡くなり、遺産相続問題が浮上したから。寅子が東京家庭裁判所の特例判事補として調停を担当することになった。
在学中から3人の息子がいた梅子の存在は寅子たちにとって実姉のようだった。梅子は家庭では徹男に虐げられていたものの、寅子たちにはやさしく接していた。
寅子の父親・猪爪直言(岡部たかし)が共亜事件で逮捕されたのに弁護士が見つからずに困っていた第20回(1935年)には、梅子が徹男に土下座して弁護を頼んだ。「お願いします」。冷酷な徹男はこれを一蹴した。それなのに自分の死の後始末が寅子に託されるのだから、皮肉なものである。
3人の息子と姑、愛人の要求はそれぞれ違っており、梅子は苦しむ。
しかも、信頼していた三男の光三郎(本田響矢)は徹男の愛人・元山すみれ(武田梨奈)といつの間にか交際しており、愕然とさせられた。第64回(1949年)に分かった。