よねと轟、寅子との再会

大庭家から梅子が出ていく際、よねが居合わせた。轟とともに梅子から相続問題の代理人を任されていたからだ。

大庭梅子(平岩紙)
(『虎に翼』/(c)NHK)

梅子が家族から離れるとき、よねはうれしそうに笑った。無論、揉め事を嘲笑したのではない。第35回(1941年)のよねの言葉を思い出す。

寅子が社会的地位を得るために佐田優三(仲野太賀)との結婚を決めたときだった。よねは「逃げ道を手に入れると人間弱くなるもんだぞ」と説いた。今度は梅子が退路を断ったから、よねは祝福する意味もあって笑ったのだ。

第56回(1949年)に寅子と再会したよねも置かれた立場と人間性は単純ではない。まず、誰よりも勉強熱心で、弱者救済という崇高な理念がありながら、弁護士資格はない。『ブラック・ジャック』を彷彿させる。

よねと寅子が再会したのは轟法律事務所。寅子から「(轟と)2人はここで弁護士を?」と問われたよねは「資格がないのに、どう弁護士になる」と冷たく答えた。2人は寅子が妊娠によって弁護士を辞めた第39回(1942年)から絶交している。