人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。
病気になるリスクと向き合う
「四十、五十は洟垂(はなた)れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら、百まで待てと追い返せ」
これは、日本経済の礎をつくった実業家・渋沢栄一の言葉です。
彼が活躍した時代の男性の平均寿命は43歳にも届きませんでしたから、当時としてはかなり大胆な言葉で、最近になってようやく現実味を帯びてきたような気がします。
しかし、いくら働き盛りといっても、年を重ねればその分、体のあちこちに具合のよくないところがあらわれるのは当然。病気になるリスクは現役時代よりも確実に高くなっています。
「そんなことは考えたくもない」という人がほとんどでしょうが、私はいざというときのために「入院用バッグ」を準備しておくことをすすめています。