厚生労働省の「令和4年度 国民生活基礎調査」によると、同居している家族が介護を行う割合は全体の45.9%で、そのうち<子の配偶者>は5.4%だそう。そのようななか、翻訳家・エッセイストとして活躍する村井理子さんは、仕事と家事を抱えながら、認知症の義母と90歳の義父の介護を続けています。そこで今回は、村井さんの著書『義父母の介護』から一部引用、再編集してお届けします。
驚くほど穏やかになった義母
2022年の年明けから数か月は息子たちの高校受験や中学卒業、そして高校入学、入学後オリエンテーションなどが重なった。スケジュール管理が苦手な私にとってはまさに地獄の日々だった。
そしてもちろん、義理の両親の介護は同時進行だ。
息子たちの入学準備でバタバタしているその渦中に、デイサービスとの調整が襲ってくる。そのうえ、確定申告まであった。
夫は仕事が多忙過ぎて、家に戻ってもため息ばかりついていた。
ため息をつきたいのはこっちだが、こうなったら仕方がないと私はいつものようにフル回転して、目の前の仕事を処理する日々だった。
そしてすべてが終わり、ようやく自分の時間を取り戻しつつある最近になってふと気づいてみれば、認知症の義母がびっくりするほど穏やかになっていた。