認知症発覚前の義母

認知症発覚からそろそろ3年になるが、それまでの義母と言えば、「関西ナンバーワンのきつい姑」、「地獄のお母様」と噂になるほどの人だった。

明るく、何ごとにも前向きで、働き者の完璧な主婦だったし、自分の好きなことには一直線の人だった。精力的に外出し、友人も多く、社交的。本を読み、音楽を聴き、映画を観ては人生を謳歌していたように思う。

『義父母の介護』(著:村井理子/新潮社)

町内会でもボス的存在で、三丁目のAさんが定年退職したらしいとか、五丁目のHさんはご両親と同居するため引っ越したなど、情報のすべてを掌握していた。

その一方で、息子夫婦(私と夫)の生活や、孫たちの教育に関して私に意見を言うことを躊躇しなかった。

つまり、とてもパワフルな人だったし、それだけに私にとってはやっかいな姑という一面もあったのだ。

とにかく、彼女は個性が強く、意志が強く、言葉が強かった。おまけに身体も頑丈だった。それはいいことなのだけれど、こっちは体力があまりない。双子の世話、自分の病気……書き出したらきりがない。

だから、彼女が勢いよくわが家にやってきたりすると、私はとことん削られ、本当に、本当に……。