ベテランの技が染みるお年頃

後半戦の前に、いきなりNHK大相撲解説を長年務め、昨年3月から解説を休んでいる北の富士さん(元横綱・北の富士)が録画で登場したのである。「角番の貴景勝にはなんとか頑張ってほしいものです」「特に期待しているのは先場所優勝した大の里」「それでは皆さん一緒に楽しみましょう」などと語っていた。お姿を見られて嬉しくなったが、北の富士さんが「楽しみましょう」と言っても、大関の全滅は悲しい。

正面解説の浅香山親方(元大関・魁皇)は、「力の差がないので、こういうことになる」と話していた。北の富士さんが現役の頃の番付の権威を示す大相撲の時代が、神々しく思えてきた。

2場所連続途中休場している照ノ富士は、胸の筋肉が落ちていて、大丈夫か?と心配になった。場所前のインタビューが紹介され、照ノ富士は、「自分もいつまでもこういうだらしない姿でいるわけにはいかない」と話していた。横綱として今場所は覚悟の場所なのだろう。

照ノ富士は小結・平戸海に下にもぐられて苦戦したが、寄り切りで勝利した。

幕内の前半も目が離せない。膝の怪我で幕下まで落ちてしまった若隆景と1場所十両に落ちていた遠藤が幕内に戻った。2人とも前頭14枚目だ。残念ながら2人とも初日は負けた。朝乃山は、先場所膝の怪我で休場して小結から前頭12枚目に落ちたが、初日は勝った。この3人の人気力士は見逃せない。

私は前頭7枚目・佐田の海が前頭8枚目・竜電を、見事なすくい投げで破った姿をみて、「これぞ大相撲!」と叫んで大満足した。若い力士の活躍も良いが、私はベテランの技が染みるお年頃になってきた。