断筆した佐藤愛子(草笛さん)のもとに、原稿を依頼したい編集者が贈り物を手に訪れる。その様子を見守る娘の響子(真矢さん)とのやりとりも楽しい((c)2024映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 (c)佐藤愛子/小学館84)

「90歳のリアル」を見てほしい

真矢 私は現場が本当に楽しかったので、出番がない日にも撮影を見に行きました。草笛さんはチョコレートがお好きと伺っていたから、喜ぶ美しいお顔見たさにチョコレートをお持ちしたりして。

草笛 いただけるものは、ありがたくいただくの。あら、そういえば今日は?(笑)

真矢 手ぶらできちゃいました。すみません(笑)。撮影期間が長かったし、主演の草笛さんはセリフの量も膨大だったので、お疲れになったんじゃないでしょうか。

草笛 そう? そんなに喋ってない気がするけど。私は楽だったわよ。

真矢 えーっ!(……と、周囲を見る。首を横に振る草笛さんのマネージャーさん)

草笛 あなたのような丈夫そうなしっかりした人がそばにいてくれたから、安心できたの。

真矢 丈夫そうって(笑)。私たちはワンシーン、ワンシーン、命がけで佐藤愛子さんになりきっている草笛さんの姿に、ずっと鼓舞されていました。

草笛 本人としては、そんなに苦労したつもりはないの。つまりそれほど苦労しなくても佐藤さんに近づける気がしたから。佐藤さんからも「あなたが私をやるのも、悪くないわね」と言っていただけたし、そのまんまの私でいこうっていう気持ちになれた。