「笑えないときでも、笑顔を作れば気持ちはついてくる。鏡を置くだけでいいんだから簡単でしょ」

振り返れば、ここまで来るのに、息子にもお嫁さんにも孫たちにも、ずいぶん支えられました。みんなしょっちゅうご飯に誘ってくれたし、遊びにも来てくれて、私を一人にしなかった。

いつだったか長男の唱(ミュージシャンの和田唱さん)の家に行ったとき、樹里ちゃん(妻で俳優の上野樹里さん)に、「和田さんいなくなっちゃって、つかむものがなくなっちゃった。寂しくて寂しくてたまらない」って言ったんです。

そしたら樹里ちゃんが、「唱さん、手を出して。レミさんも手を出して」と。そして唱に「レミさんの手を握ってあげて」って。私の手を力強くギュッと握ってくれた息子の手は、昔はもみじみたいにちっちゃかったのに、がっちりした大人の手になっていました。

そのとき、「あ、つかむものがあった。ここには和田さんが半分入ってる」、そう思えたの。もううれしくて涙が出てきてね。樹里ちゃんには、前を向くきっかけを作ってもらったと思っています。