帝王切開児症候群

40年ほど前になるが、「帝王切開児症候群」ということばに出逢ったことがある。アメリカの産婦人科医の著書だったと記憶している。

いわく、帝王切開の70%が、理由がはっきりわからない。

『孫のトリセツ』(著:黒川伊保子/扶桑社)

母胎にさして問題がないのに、陣痛があっても、子宮口に頭を吸い込まれないように頑張る胎児がいる。

そして、そうして生まれた帝王切開児の多くが、シャツを頭からかぶせられるのを嫌い、大人になってもハイネックのセーターが苦手だったりする。

その様子を見るたびに、子ども自身が、産道を通ることを拒否したとしか考えられない、と。

実は私は、布団を頭からかぶると、呼吸ができないほどのパニックになる。ハイネックどころか、胸の詰まった服は一切着られない。

お産の時には、私がまったく降りてこないので、鉗子(かんし)もまっすぐかけられず、当時のお産の技術では、おなかの子をあきらめて引きずり出すか、帝王切開しかないと言われたという。

どう考えたって、私が「あんな狭い所、絶対無理」と思ったに違いない。