母乳神話もいい加減にしたらいい
母乳の出る、出ないもまた、新米ママたちを悩ませる。
たしかに、母乳には奇跡のように赤ちゃんに必要な成分が入っている。出るなら、あげるに越したことはない。
桶谷式乳房管理法のような助産院などで提供されるプロの手法もあって、もちろん試してみる価値は十分にある。
しかしながら、母乳が出ないし、出るように努力する気力もない、そもそも乳首を赤ちゃんに含ませることが精神的に苦痛というママたちもいる。
赤ちゃんに乳首を含ませて、全身全霊で吸おうとする姿をかわいいと思えるか思えないかは、体調にもよるのである。
母乳は血液から作り出すものなので、たとえば貧血ぎみのママは、血液を消費することに脳が抵抗するのかもしれない。
赤ちゃんがお乳を吸うと分泌される、親愛の情をあふれさせるホルモン・オキシトシンも、その分泌量に個人差がある。
誰もが、授乳を「ただただ嬉しい、愛しい」と感じているわけじゃないのである。
新米ママに母乳が出なかったとき、私はこんなふうにアドバイスしている。
「乳腺が開くまでの時間には、個人差がある。私は、生まれて1か月ほどはうまく出なくて、ミルクを主食に、母乳は『乳首をくわえさせる遊び』のつもりでリラックスしていたら、1か月目にあふれるほど出るようになったから、そうしてみれば?」
そして、たとえ母乳で育てられなかったとしても、そう落ち込むこともない。
今のミルクは本当によくできていて、まるで「ベイビー向け完全栄養プロテイン」。
なんなら、偏食の母たちの母乳より良いのでは? と思えるくらいの成分である。
※本稿は、『孫のトリセツ』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
『孫のトリセツ』(著:黒川伊保子/扶桑社)
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