弥生美術館と竹久夢二美術館

ところで、私は大相撲とは無縁のところに行き、大相撲と出会ってしまった。

名古屋場所が始まる前の7月9日に、東京都文京区弥生2‐4‐3にある弥生美術館と竹久夢二美術館へ鑑賞に行った。弥生美術館では「開館40周年 生誕祭!大正ロマン・昭和モダンのカリスマ絵師 高畠華宵(たかばたけ・かしょう)が伝えてくれたこと」、竹久夢二美術館では「生誕140年記念 竹久夢二の軌跡」を開催している。

都会の小さな美術館と言える建物に入ると、外の猛暑を忘れ、都会の喧騒も忘れ、己の煩悩も忘れて、高畠華宵の描く美しい人々の世界に引き込まれた。弥生美術館は、少年の頃に華宵の絵に感銘を受けてファンとなった鹿野琢見(両美術館の初代理事長)が、私財を投じて自宅敷地内に建てたことを初めて知った。

隣接する竹久夢二美術館では、竹久夢二は画家であり詩人でもあり、「夢二式美人」を描き、理想の美を追求していたことをじっくりと学んだ。

疑問があり、学芸員さんに質問する中で、私が大相撲の原稿を書いていることを話した。すると学芸員さんが、鰭崎英朋(ひれざき・えいほう)という明治から昭和にかけて活躍した画家が、美人画だけでなく相撲絵も得意としていたことを教えてくれた。

弥生美術館には相撲絵ではない鰭崎英朋の作品が少しあったので見ていると、学芸員さんが『妖艶粋美―甦る天才絵師・鰭崎英朋の世界』(国書刊行会、松本品子著)という画集を持って来て見せてくれた。そこには、現在の人気力士である遠藤のような美しい力士の絵があった。

この美術館ではその画集は販売していないので、インターネットで検索したら鰭崎英朋の『相撲四十八手』という本も出てきた。大正ロマンと美人画を堪能できる美術館で、私は大相撲に出会えたことに深く感動し、学芸員さんに感謝した。

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