大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマの放映をきっかけとして、平安時代にあらためて注目が集まっています。そこで今回「まひろが出仕した彰子サロン」について、『謎の平安前期』の著者で日本史学者の榎村寛之さんに解説をしてもらいました。
「華やか」に見える女房たちだが…
前話から中宮彰子のもとへ出仕をはじめたまひろ。
予告によると「藤式部」という名を与えられて執筆に励むも、女房としての仕事もこなさなければならない毎日に、疲労困憊する姿が次話で描かれるようです。
大臣級の貴族の娘や孫が女房として働く姿は10世紀以来見られていたのですが、実際には、華やかさの中に、そこはかとない寂しさを伴うものだったようです。
『紫式部日記』に出てくる、紫式部の同僚で親友の「小少将の君」。
彼女は、源時通という貴族の娘で、左大臣源雅信の孫。
つまり藤原道長の正妻・源倫子(ドラマでは黒木華さんが演じています)の姪でした。
ということは、彰子の従姉妹で、藤原道長にも義理の姪という、姫としても破格の存在だったのです。
しかし、父の時通は世をはかなんで早く出家。
彼女はその異母兄でもある源扶義の養女となり、彰子の元に出仕することになったようです。