ミニマリズムの限界

しかし、変わりゆく暮らしの中で“必要最小限”を見極めるのは難しく、手放したモノがあとから必要になって買い直したり、環境が変わって急にモノが増えることもありました。

せっかく手放しても、気づいたらすぐにモノが増えてしまうことに、「どうしてうまくいかないんだろう!?」と小さなモヤモヤを覚えるようになっていたのです。

『がんばらないミニマリズム モノ・時間・暮らしのゆとりをつくる』(著:mai minimalism/祥伝社)

そして私は、そのモヤモヤを払拭するため、さらにモノを手放していくことに熱中していきました。

家じゅうをひっくり返しては手放せるモノはないかと探し回ったり、大切にしていた思い出のモノをきっぱりと手放してしまったり、頂き物も嫌悪するように……。

その頃には結婚もしていたのですが、挙句の果てには夫の趣味であるバイクの工具にも手を出し、あと一歩で勝手に手放してしまうところでした。

今思い返すと少し病的で、危うく家族とも険悪な関係になるところでした。

暮らしが快適になるのと同時に、モノに対して異常に神経質になっていたのだと思います。

モノを手放す基準が、「自分にとって必要か、必要じゃないか」よりも「モノの数が増えるか、増えないか」に変わってしまっていました。