トラウマ型の傷つき体験
ここにトラウマ型を加えた理由は、傷つき体験のある子どもが内向型やHSC型だと誤解されることがあるからです。
傷ついた出来事があると、元来の性質にかかわらず人は誰でも消極的になったり、些細なことに敏感に反応したりします。
それが、内向型やHSC型の性質と重なるので、区別が難しくなります。
トラウマという言葉から、虐待やネグレクトをイメージするかもしれません。
しかしそうではなく、小さい日常的な傷つきがケアされないまま、傷つき体験が繰り返されることでトラウマになることがあります。
たとえば、あいさつできないことを人前で叱る、もしくは「なんでできないの? もう知らない」と突き放すと、子どもは不安や怒り、悲しみを感じます。
本来、親は子どもにとっての安心基地であるために、このように親に冷たくされると子どもは完全な孤立状態に陥り、目がチカチカし、心臓がドキドキし、身体が硬直したり、冷たい汗をかいたりします。
頭の中は不安と恐怖でいっぱいになり、何も考えられない状態です。
親がこの状態に気がつかずに、フォローやケアをせずに繰り返すと、子どもは自分の中に閉じこもりがちになります。
さらに、情緒不安定になったり、些細なことに傷つきやすくなったりするのです。
この状態が、内向型やHSC型と誤解されることがあります。
トラウマ型は、傷のケアが必要なので、内向型やHSC型とは異なる理解と対応が必要です。
※本稿は、『声かけで伸ばす 内向的な子のすごい力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
『声かけで伸ばす 内向的な子のすごい力』(著:吉田美智子/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
引っ込み思案こそ、伸びしろいっぱい!
2000人以上の親子の悩みを解決してきた元スクールカウンセラーが伝える、内向・HSCの子の力を生かす育て方。