習っている琴で「うれしいひなまつり」を練習し始めた…(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは岩手県の60代の方からのお便り。知人の家での出来事をきっかけに、習っている琴である曲を練習したそうで――。

懐かしい音を奏でる

今年に入り、知り合いのSさんの家を訪ねた時のことだ。コーヒーを準備し終えると、彼はいきなり「ハッピーバースデー」の曲を手元の小さな楽器で弾き出した。私の誕生日が間近だと聞いていたようだ。

カリンバというアフリカ由来のその楽器は「親指ピアノ」とも呼ばれ、両手におさまるほどの大きさ。オルゴールのような澄んだその音色は、広い草原をどこまでも届いていきそうだ。音程を少し外してしまうところもあったけれど、目の前で聴く演奏は格別だった。

彼に影響を受けた私は、3月3日を前にして、習っている琴で「うれしいひなまつり」を練習し始めた。保育園に通う孫娘がお遊戯会で踊るらしい。家でも歌いながら踊りを見せてくれる。

琴で伴奏ができたら素敵だろうと思い立ったのだが、楽譜を見ながら孫の歌に合わせようとしても、なかなか難しい。途中で指が止まってしまったり、別の弦を弾いてしまったりとすんなりいかない。

孫はすぐに飽きてしまって、ほかの遊びに夢中になり、見向きもしなくなった。そんな様子を夫が面白がって、練習風景を動画におさめていた。