琴を習い始めたきっかけ
琴を習い始めて数年が経つ。その音色を偶然耳にして、出稽古の教室を覗いてみたことがきっかけだった。
子どもの頃、隣の家からはよく尺八や琴の音色が聞こえていた。住んでいた女性は邦楽三曲の家元。
音楽にはまったく縁がない人生だと思っていたけれど、耳の奥でその懐かしい音色がよみがえった。年齢を重ねて曲がってしまった指に琴爪をはめて、六十の手習いだ。
夫が撮った動画を思いきって何人かの友人に送信してみた。小さな手作り雛の写真を添えて、桃の節句の便りに代えたのだ。友人たちはそんな戯れごとを喜んでくれた。
Sさんからもメールで、「俺のカリンバと、どっこいどっこいだな」とお返事が。私は思わずにんまりした。次は何の曲で遊ぼうか、思いを巡らせている。