不思議な絆で繋がっている
瑛介が学校から帰ってきたとき、もう家には翔大がいなかった。
毎晩陣取りでドタバタと取っ組み合っていた2人の布団はまだ並んだまま。今日から大の字になって瑛介1人ゆっくり寝られるはずなのだが…。
私たちが家にたどり着いた夜10時前には、自宅の周りには10cmくらいの雪が積もっていた。きっと明日までもっと降り積もるだろう。
あと1日翔大の入寮が遅ければ、間違いなく兄弟2人で転げ回って雪を投げ合っていただろう外の景色を、瑛介がちょっと寂しそうに眺めていたのを母は見逃さなかった。
言葉はなくとも、不思議な絆で繋がっているものなのかなぁ…兄弟ってのは。
母もうっかりどこかに落ち着いて座ってしまったら、急に「切ないもの」が襲ってきそうで…。
泣かない。
泣くのはココじゃない。
もっともっと先の、嬉しい時に取っておこう!