2024年上半期(1月~6月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年02月05日)
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歌謡曲、J-POP、叙情歌など、さまざまなジャンルを歌いこなす林部智史さん。はじめから歌手を目指したわけではないと語りますが、今に至るまでにはいくつもの挫折と再起の日々がありました(構成=上田恵子 撮影=宅間國博)
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歌謡曲、J-POP、叙情歌など、さまざまなジャンルを歌いこなす林部智史さん。はじめから歌手を目指したわけではないと語りますが、今に至るまでにはいくつもの挫折と再起の日々がありました(構成=上田恵子 撮影=宅間國博)
憧れだったディズニーの世界へ
頑張った甲斐あって、ESPを卒業する際は首席の評価をいただきました。でも残念ながらデビューにはつながらず……。上手いだけでは歌手にはなれないという現実を知りました。
オーディションも100本以上受けたと思います。10年には、三代目J Soul Brothersのヴォーカリストを決めるオーディションにも挑戦しました。合格者は今もヴォーカリストとして活躍する今市隆二さんとOMIさん。ちなみに僕は、1次予選でたった20秒しか歌えずに敗退しました。
その頃の僕には、歌の次にもうひとつ、「ディズニーランドで働きたい」という夢があって。以前、看護の実習をしていたとき、つらい日々の支えになったのが、子どもの頃によく親が連れていってくれたディズニーの世界でした。実習中は何度もテーマパークに通い、行けないときはガイド本を読み込んで癒やされていたのです。
どうせなら学んだことを活かせる職種をと、東京ディズニーシーの「ガイドツアーキャスト」に応募。無事に採用され、憧れの場所で働けることになりました。
ガイドツアーキャストというのは、別途料金をいただき園内を案内する業務です。コースによっては台本1時間半分を喋り続け、歌を歌うシーンもありました。
同時に、僕の中にESPの恩師から言われた「歌手になるような人は音楽のほうが見放さない。もしも声がかかったら全力を注ぎ込め」という言葉がずっと残っていて。「チャンスが来たら絶対に掴んでやろう」と、気持ちだけは切らさないようにしていました。
そんなとき、カラオケの点数を競うテレビ東京の番組『THEカラオケ★バトル』から声がかかったのです。