百寿者に共通する特徴

翻ってみると、現段階の医療や先進国における環境を考慮するなら、ヒトの生物学的寿命は120年ほどであろうと推定され、まずは多くの人がどうすればここまで生きられるかという問題があります。

もう1つは、さらに科学技術が進歩すれば、120年を超えて、場合によっては不老不死が実現できるかということも議論されるようになってきました。

『一般教養としてのサプリメント学』(著:杉浦克己/草思社)

前者については、百寿者の研究が米国、イタリア、日本を中心として行われ、これまでに、百寿者に共通する特徴として、

(1)動脈硬化になりにくい
(2)インスリン感受性が高く、糖尿病の有病率が低い
(3)加齢に伴い炎症反応が亢進する(炎症の指標が高まることが寿命を規定している)

ことがわかっています。さらに、長寿に関連する遺伝子、免疫、腸内細菌叢など、多角的にマルチオミクス解析を用いた研究が進んでいます。

このように、アンチエイジングは現在最もホットなテーマであり、グラットンとスコットの『ライフシフト―100年時代の人生戦略』(2016)、シンクレアとラプラントの『ライフスパン―老いなき世界』(2020)などが国際的ベストセラーとなっていることを見てもうなずけるでしょう。