テレビは平和に寄与できる

戦後、日本でのテレビ放送スタートと同時に、NHKの専属俳優としてテレビで仕事を始めました。NHKの入社試験の経緯は『続 窓ぎわのトットちゃん』にも書いていますが、思い出すと自分でもあきれるくらい失敗の連続で。よくもまぁ、採用してくれたものだと思います。入社したのは1953年ですから──えぇ~っ、もう70年!? びっくりしますよね。

ここまで長く続いた理由のひとつに、かつてアメリカのNBCのプロデューサーだったテッド・アグレッティーさんの存在があります。アグレッティーさんはNHKがテレビ放送を始めるにあたり、技術的なことも含めて、さまざまなアドバイスをしてくれた方。

放送開始に先立って、私たちNHKの関係者を前にした講演で、「テレビというのは、今世紀最大のメディアであり、そのうち戦争さえも家のテレビで観られる時代が来るだろう。テレビには力がある。その国がよくなるも悪くなるもテレビにかかっている。そして私は、テレビは永久の平和に寄与できると信じている」とおっしゃったんです。

その言葉に、心から感動しましたね。もし自分がテレビに出ることによって、平和の手助けができるんだとしたら、これほど素敵なことはないと思ったんです。

ですから76年に『徹子の部屋』を始めてからは、毎年、終戦記念日が近づくと、さまざまなゲストの方に戦争体験を語っていただく企画を続けてきました。

<後編につづく