(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、40代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第30回は「セカンドオピニオンは躊躇せず」です。

突然の内出血、勃発

約2年前のこと。朝、目覚めて洗面所に立つとデコルテに赤黒い内出血ができていた。

「はて……?」

内出血部分に痒み、痛みを感じるわけでもない。殴られた、とか艶かしい記憶もない。ただ位置がちょうど衣服で見えるか? 見えないか? の際どい部分にあるので目立つ。当日、初めて会う写真家さんとの打ち合わせを控えていたので、焦る。

こういう時にベタに絆創膏を貼ると、どうでもいいことを勘繰られそうだ。いや、そう思ってしまうのは昭和生まれの性なのか。とりあえず化粧ついでにコンシーラーで消す。それでもうっすら赤みが見える。

それから数日しても内出血は少しずつ色が薄まっていくだけで、完全には治らない。これも更年期障害の症状だろうか。毎日、鏡の前で不安を募らせていく。

素人が1人で考えていても仕方がないと、毎月メディカルチェックで通っている皮膚科の医師に相談をした。

「先生、こんなものが数日前からできてしまいまして……」

医師は拡大鏡で私のデコルテを覗き込む。

「これ、普通の内出血ですね。皮膚を掻いた跡が残っています。掻いた記憶がない? 夜中の自分が知らないうちに掻いているしまうことはあります。特に処方する薬もないので、このまま様子を見てください」

……解せぬ。たかが内出血と言われても、他人の視線を浴びる位置にある以上、私にだって恥というものがある。これが北川景子だったらどうする。メイクで誤魔化しきれないし、今日の撮影に差し支えが出るじゃないか。もっと真剣に考えてくれてもいいのに。

馬鹿なことを考えつつも、どうしても原因を突き止めたい内出血との闘いが幕を開けた。