総務省統計局が発表した「令和2年国勢調査」によると、年齢10歳階級別に2005年以降の「単独世帯」割合について、65歳以上では増加傾向にあるとのこと。男女ともにひとり暮らしの高齢化が進む中で、ひとりで生きていくための準備をしている方も多いのではないでしょうか。時間を自由気ままに使えるのがおひとり様のいいところ。思いつきに、いつしか夢中になって――。川原田七穂実さん(福岡県・無職・56歳)は、着なくなった服を整理しようとしたところ、思わぬ楽しみを見つけたそうで――
引っ越しを機に服の山に向き合ったものの
深夜0時、ひとりだけのショーが開幕。ひと冬だけ続いた、私のささやかな愉しみは、ちょっとした思いつきから始まりました。
引っ越しのため、もう着ないであろう服を20着ほど処分しようと思ったのです。ただ捨てるのは忍びなく、クリーニングした服を箱の中に入れて、「ご自由にお持ちください」と自宅の玄関先に置いてみることに。
30分ほど経った頃でしょうか。何だか手放したくないという気持ちがムクムクと湧き上がり、やっぱり回収しようと外に出ました。しかし、すでに箱ごと誰かに持ち去られていたのです。
手放そうと決めたのは自分だとわかっていても、胸が痛み落ち込みました。喜びも悲しみもともにした服を、どうして簡単に捨ててしまったのだろうか……。
諦めきれず、後日古着屋さんをのぞくも、当然私の思い出の服は見つかるはずもなく、自分の判断を後悔するばかり。結局、ほかの服は処分せず、そのまま引っ越し先に運びました。
しかし、荷詰めはもとより、荷ほどきをするのも一苦労。服が多すぎると思った私は、やはり処分しようと思い直したのです。