手始めにタンスの引き出しを開けて、中身を全部床に広げました。色褪せたTシャツや、年齢的に着るのは無理な気がするミニスカートなどを手放すことに。作業を続けていると、ふと思いつきました。「このままただ捨てるのはもったいない。最後に着おさめしてからにしよう」。我ながら、素晴らしいアイデアです。
昼間、頻繁に着替えると急な来客に対応しかねるので、深夜に行うことに決めました。時間も自分で好きなように決められるのがひとり暮らしのいいところ。ウキウキした気持ちで夜を待ちました。
リビングにある、全身が映る三面鏡の前がステージです。まず、パステルカラーやビビッドカラーの服ばかりを集めてみました。幼い頃から可愛い色が似合わないのに、なぜこの服を買ったのだろう? バーゲンで、その場の勢いにのまれた記憶がよみがえり、ちょっと悔しくなります。そのお金で友人とランチしたほうがずっとよかった……。
気持ちを切り替え、どうにか着こなせるものはないかと探すことにしました。差し色に使う程度ならなんとかなりそうだと、鏡の前でくるくる回り、決めポーズ。つい気分が上がって、メイクもしたくなってきました。
おでかけメイクにしようと、ふだんは描かない眉に四苦八苦しながらどうにか完成。改めて全身をチェックすると悪くない。私も着飾ればまだまだ素敵!
そのうち完全に「捨てる」という目的を見失い、ファッションショーに夢中になってしまいました。鏡をのぞいては、「結構いい感じ」「案外素敵」。
それだけでは飽き足らず、「君は薔薇より美しい」のCDをエンドレスでかけ、ショーは続きます。照明を控えめにして、アロマキャンドルを灯すと気分は大盛り上がり! いつのまにか夜明けを迎えていました。
こんなことをしていたので、洋服は少ししか減らせませんでした。