慌てて靴箱の戸を全開にするとショックを受けました。好きだったボア付きのブーツはカビだらけ。くたびれたサンダル。ほかのものも表面がひび割れたり、傷だらけだったり。大事にしていたパンプスと、普段使いの2足しかまともな状態ではありませんでした。

しょんぼりしながら、モノトーンの山に戻ります。ほんの少しだけ休もうと、ベッドに積み上がった服の間に寝ころびました。この山を片づけるまでは寝ないぞ、という心意気はどこかへ行き、気が付くとそのまま……。

ハッと飛び起きると、もう朝でした。服によだれを垂らしていないのは不幸中の幸い。周囲は、洋服が積み上がったままで、現実を突き付けられました。ゆうべはあんなに楽しかったのに。

深夜のファッションショーのおかげで眠っていた服と向き合うことができて、私の服のレパートリーは少し華やぎました。引き換えに手に入れたのは、荒れ放題の部屋と乾燥した肌。こういう時だけは、同居人に怒られる心配のないひとり暮らしをありがたく思います。

あの冬、少しだけ余裕ができたクローゼットも、また元通りになってきました。ファッションショーの再開は近そうです。

手記・漫画版はこちら