その『ハムレット』が第1の転機ともなるのだろうか。まだこの舞台の最年少記録は破られていないかも。
――そうかもしれないですね。演出の末木利文さんが父との芝居でご縁があって、14歳の『ハムレット』を是非、ということになったんですが、そこに飛び込んでみると、自分が役になって動いてないのがわかるんですよね。それで悩むし、口惜しいし。
ハムレットが父王の亡霊に出会って、殺された時の状況を聞いた後に、満天の星を見上げて語る長い独白があるんですが、夜遅く稽古を終えて一人とぼとぼ帰る途中で空を見上げて、東京でもこんなきれいな星空があるんだな、とか。
それまで父の演った役の真似をして遊んだりするくらい芝居が好きでしたけど、でも役を演じる、芝居を作るって、こういう難関を乗り越えていくことなんだな、と気づいたのがこの『ハムレット』ですね。
そういうところに14歳の僕を飛び込ませた父の考えというのがあったのかな、と思って。まさにこれが第1の転機だと思います。