ある大雨の日
20代の頃、ある大雨の日、車を運転していたら、体にマヒのある男性が大通りでタクシーを探しているのを見かけました。
傘を差していたけれど、全身びしょ濡(ぬ)れです。
子どものときの記憶が蘇(よみがえ)りました。
今日こそは勇気を出そうと、「よろしかったら、どうぞお乗りください」と声をかけて、その方の自宅近くまで送ることにしました。
その方は、「手伝いはいりません」とおっしゃって、両手で体を支えながら車を乗り降りしていました。そして、週に2〜3日、電車を乗り継いで仕事に通っていることなどを教えてくださいました。
当時、その方のたくましさに強く心が揺さぶられました。
そんな昔の記憶がありありと思い出され、「何かのメッセージかも……」と思わずにはいられませんでした。