(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が実施した「令和4年 介護サービス施設・事業所調査」によると、介護に従事する職員数は年々増加しており、令和4年度は215.4万人だったそうです。そのようななか「女優の仕事と介護の仕事は似ている」と話すのは、芸能活動のかたわら、介護福祉士や准看護師として現場で活躍する北原佐和子さん。今回は、北原さんの著書『ケアマネ女優の実践ノート』から、北原さんが介護の現場で経験したエピソードを一部ご紹介します。

鮮明に思い出した過去の出来事 何かのメッセージかも……

子どものとき、夕方になると、仕事から帰ってくる父を迎えに決まって駅まで出かけていました。

父を待っている間、駅の改札口や券売機の前で、高齢者や体の不自由な方が困っている様子を見かけることがよくありました。

手伝ってあげたい。けれど、恥ずかしい……。

まだ幼かった私は、見知らぬ方に声をかける勇気がなく、ただ気になって遠巻きに眺めているだけでした。

そんな日は、すごく悔しくて、重い足取りで帰宅したものです。