言いふらして、この地で住めないようにしてやる

「でも、夫も長兄も長姉も『それでいい』とすんなりハンコを押した。次女と三女は拍子抜けしたように、彼女たちもハンコを押したのです。分割協議書をそれぞれが持ち帰り、一気に片がついてホッとしたのも束の間、次女から『あれは無効だ』というファックスが送られてきた。自分たちが決めた金額なのに、もっと多額のお金を要求してきたんです」

それからいやがらせのファックス、メールが毎日のように送られてくるようになる。「母を殺したのはあんただ」「遺産ドロボー」などなど。人格を攻撃するような言葉も連ねてあった。さらには、「言いふらして、この地で住めないようにしてやる」とも……。

連日の攻撃にエミさんは精神的にもまいり、うつ状態になった。家裁にも相談に行ったが、そこでは「これはお金が欲しいとかではなく、徹底的にいやがらせをしたいのではないか」と言われた。

2人の義姉は、分割協議書で定めたお金を送っても受け取りを拒否していたが、司法書士のアドバイスもあって、供託という形で国に預けて対応をまかせ、ようやく遺産分割に決着がついた。以後、2人の義姉とは絶縁状態が続いている。

「身内との縁を切ることにためらいはありました。でも夫が、『こんなに苦しめられたんだ。今後一切つき合わなくていい』と言ってくれて、私も『これでいい』と肚をくくれました。夫の長兄と長姉が、ずっと味方になってくれたこともありがたかった。孤立せずにすみましたから」

縁を切ることで、平穏を得られることもある。2人の義姉については、自分たちとは別々の場所で、それぞれに幸せであればいいとエミさんは思っている。

 


ルポ・小舅小姑たちがわが家の平和をかき乱す
【1】冷蔵庫を勝手にあさる義兄夫婦。姑は止めると思いきや…
【2】母を殺したのはあんただ!…義姉たちとの「相続3年戦争」
【3】実家には独身の義兄が3人も。依存する彼らから逃げたい