安売りではない方法で利益を追求

以上のように、日本のセブン- イレブンは、物流や商品開発に加え、情報通信技術の活用にまで及ぶイノベーションを達成した。

安売りではなく、利便性の提供というコンセプトに基づく高い利益を追求し、その利益を本部と加盟店で分け合う。

中小小売店との共存共栄という初発の問題意識は、このような日本型コンビニのかたちとなって結実したのである。

この間、セブン-イレブンの国内店舗数は、1974年に酒屋からの転換による一号店が開店してから、1980年に801店、1990年に3954店、2000年に8153店へと大きく増加し(セブン-イレブン・ジャパン2003)、以下に示す売上高ランキングの通り、最大手のコンビニエンス・ストアとして業界の発展をリードしたのであった。

表3-4 コンビニエンス・ストア売上高ランキング(2008年度)
(出所)『流通統計資料集 2010年版』流通経済研究所、2010年、71頁により作成。 (注)エリア・フランチャイズを含む。ただし、ミニストップのみエリア・フラ ンチャイズの数字を得られず合算していない。

 

参考文献:
矢作敏行(1994)『コンビニエンス・ストア・システムの革新性』日本経済新聞社
川辺信雄(2003)『新版 セブン- イレブンの経営史――日本型情報企業への挑戦』有斐閣
鈴木敏文(2014)『挑戦 我がロマン――私の履歴書』日経ビジネス人文庫

 

※本稿は、『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中公新書)の一部を再編集したものです。


消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(著:満薗 勇/中央公論新社)

応援消費やカスハラなど、消費者をめぐるニュースが増えている。本書は、消費革命をもたらした1960年代から、安定成長期やバブル、そして長期経済停滞までを消費者の視点で描く。生産性向上運動、ダイエー・松下戦争、堤清二とセゾングループのビジョン、セブン‐イレブンの衝撃、お客様相談室の誕生などを通し、日本経済の歩みとともに変貌していく消費者と社会を描き出す。