(写真提供:Photo AC)

大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマの放映をきっかけとして、平安時代にあらためて注目が集まっています。そこで今回「まひろが出仕した彰子サロン」について、『謎の平安前期』の著者で日本史学者の榎村寛之さんに解説をしてもらいました。

紫式部の就職先について

ドラマ内で、彰子の女房になることを道長から勧められたまひろ。一家の家計のためにも藤壺に上がることを決意しました。

しかし予告を見る限り、出仕した内裏では、先輩の女房たちから冷たい扱いを受けることになるようで…。

なお史実によると、紫式部が仕えた彰子中宮には、二十数人の女房が仕えていたと考えられています。まひろが出仕したのは、たくさんの同僚がいる職場だったわけですね。

その中には、赤染衛門をはじめ、和泉式部や小式部内侍、伊勢大輔などの百人一首の女流歌人もおり、才能あふれるキャラクターがいたことが知られています。

『紫式部日記』には、その中で孤立した話、いじめられた話など、いかにも“引っ込み思案”の紫式部らしいエピソードが見られるのですが、彼女の親友とも言える女房も数人記されています。

「宰相の君」と記される女房もその一人です。