紫式部の親友「宰相の君」とは

その名の由来は、「参議(国政会議に出られる上級貴族の役職。宰相は中国風の呼び方でシャレた感じ)の身内の方」というくらいの意味です。

『謎の平安前期―桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』(著:榎村寛之/中公新書)

彼女は彰子の側近で、彰子が敦成親王(後一条天皇)を産んだ時には、母の源倫子(藤原道長の正妻。ドラマでは黒木華さんが演じる)と共にその側にいて大活躍しています。

紫式部は、そんな彼女が硯箱を枕にうたた寝をしている様子を「可愛らしく気品のある色気があって、物語のヒロインみたい」とほめています。

式部はその後、口元を隠した衣装の袖をめくって顔を覗き込み、宰相の君に「何するの!!」とキレられていますが、キレた様も可愛いというので、よほどの美人だったのでしょう。

実は彼女は紫式部よりずっと身分の高い、おそらく上臈女房と呼ばれる人たちの一人です。そして藤原豊子という本名がわかっており、その父はなんと藤原道長の異母兄、道綱。ドラマでは上地雄輔さんが演じています。