アサーティブに行動するには?
ここで一つ、例題を出します。こんなとき皆さんは、どんな行動をとるでしょうか
Aさんは英語の勉強をするために、大学の社会人コースに入りました。週1回の夜の講座で、さまざまな世代の人が集まっています。ある日、たまたま隣の席に座った女性の家がAさんの家の近所だとわかり、車で来ていたAさんが彼女を最寄り駅まで送っていくことになりました。
とても感じのいい人で、その日は楽しく一緒に帰りましたが、その後も隣の席に座ることが多くなり、帰りは車で送っていくのが習慣のようになってしまいました。だんだん負担を感じるようになってきたAさん。でも今さら送りたくないとは言えない……。
このようなケースでは、いろいろな対応がありますが、私が一番驚いたのは、「その英語クラスを辞めます」と答えた方がいたことです。しかも一人ではなく、数人が同じように答えました。
断るのが嫌で、とりあえず「逃避」するという選択は、その場の面倒は避けられますが、根本的な解決にはなりません。困難な状況から逃げていると、自分が本当にやりたいことができないままになってしまうかもしれません。
また、波風が立つのが嫌だから、「諦めて毎回送ってあげる」という意見もあります。講座のある半年間だけ我慢すればいい、という選択です。
でも、半年とはいえ自分の行動が制限されるわけで、イライラが募ったり、相手を嫌いになったりしてしまうかもしれません。「服従」「妥協」は、相手と対等な関係とは言えませんので心に不満が残ります。
では、アサーティブに行動するにはどうすればいいのか。例えば、あなたが帰りにどこかに寄りたい場合、相手に対して最初に「今日は帰りに寄りたい場所があるから送れないの」と伝えれば簡単です。
次の週は大丈夫なら、「来週は大丈夫」と伝えられますし、逆に「来週は送れない」と知らせることもできます。これを自然に伝えれば問題ありません。お互いに気持ちよい関係でいるためには、自分の気持ちをストレートに伝えることが大切なのです。
ちなみに、アサーティブは精神面を重視したコミュニケーション術ですが、心と体は連動しているため、心がアサーティブであるためには体の準備が必要です。
次ページの「やわらかなコミュニケーションの準備体操」と、別の記事にまとめた「気持ちをきっぱり伝えるための8つのスキル」をぜひ身につけて、日常生活で実践してみてください。