Q:メンタルクリニックを受診したら、「適応障害の疑いがあるので、しばらく会社を休んだほうがいい」といわれ、薬も出してもらえませんでした。でも、薬で何とかなるなら、会社の仕事は続けたいと思っていますが、どうしたらいいでしょうか?

適応障害に効く薬はありません。適応障害を治すには、環境を変えるか、認知療法でものの見方を変えるしかないのです。

その意味では、あなたの受診したメンタルクリニックの先生の対応は間違っていません。適応障害であるなら、私も「休んだほうがいい」と患者さんに伝えます。

なぜ、そんなに頑(かたく)なに仕事を<しなければいけない>と思うのでしょう。その考え方を変えることが、適応障害を解決するための第一歩です。

あなたがいなくても、会社は何とかなります。会社というのはそういうものです。

メンタルに問題を抱えている日本の患者さんの多くに伝えたいのは、もうちょっとラクをすることを覚えたほうがいいということです。もっと上手に休む。休めるときには存分に休む。

仕事も適当に休んだらいいし、家事など、お金を払うことでラクができるなら、迷わずそちらを選択しましょう。しかし、どれも日本人が苦手なことです。だから、メンタルに不調をきたしてしまうのです。

※本稿は『「精神医療」崩壊 メンタルの不調が心療内科・精神科で良くならない理由』(青春出版社)の一部を再編集したものです。


「精神医療」崩壊 メンタルの不調が心療内科・精神科で良くならない理由』(著:和田秀樹/青春出版社)

増加の一途をたどる心を病む人びと、メンタルの不調から復職しても約半数が再休職する現実、5分診療・薬を出すだけ診療はなぜ起こるのか?

精神科医・心療内科医の数は増え、メンタルクリニックも増えているのに、メンタルを病む人がちっとも良くならないのはなぜなのか?

気鋭の精神科医がその深層に切り込んだ一冊。