佐賀県の全体像

さっそく地図を開くと、関門海峡から熊本に向かうのに、武雄温泉に寄るというのはずいぶん回り道だ。そんな遠回りしてまで、武蔵は温泉に行きたかったか?

そもそも、武蔵は風呂嫌いで、長い髪も洗わないので、近寄ると臭かったとも言われる。本当に武雄温泉に入ったのだろうか? 大いに疑問が湧く。

『新・佐賀漫遊記』(著:久住昌之/産業編集センター)

と思いながら地図をながめていて、ふと自分はこの歳になるまで、佐賀県の地図をちゃんと見たことがないのに気がついた。いや、佐賀県民には申し訳ないが。

佐賀に通うようになっても、県内の地域の位置関係とか、方向感覚や距離感がなかなかつかめなかった。いや、今でもはっきりわかっていない。

小さな県なのに、すごく全体像が捉えにくい県なのだ。中心的な高い山や河川、大きな街をすべて結ぶ大動脈的な鉄道が無いからかもしれない。