業務経験と人生経験

たとえば、60歳で定年を迎えた方が、以前から興味のあった業界でアルバイトとして働いてみよう、と、近所の飲食店で働き始めました。

その店には入店歴3年の大学生のアルバイトリーダーが君臨しており、「いらっしゃいませの声が小さい!」「何度言ったらわかるの!」「もっとさっさとやって!」とスタッフを怒鳴り散らしていました。

(写真提供:Photo AC)

その様子を見ていた60歳の人が、休憩時間にアルバイトリーダーの人に「気持ちはわかるけど、怒鳴り声がお客さんのところに聞こえるかもしれないし、もう少し楽しくやってもいいんじゃないのかな」と意見をしました。

するとそのアルバイトリーダーの人は「私はここで3年もやっている、しかもリーダーですよ。あなたは自分が年上だからというだけで私のやり方に意見してくるんですか。それって老害じゃないですか? 私が年下だから馬鹿にしているんですか?」と言い返しました。

60歳の人は「確かに自分は業界未経験でこのお店にも入店したばかりだけど、人生経験は豊富だから皆のために良かれと思って言っただけなのに……。そっちこそ入店歴と経験を盾にした老害じゃないか」と思ったことでしょう。