理不尽なことはどんどん変えていく

和田:日本は同じ服ばかり着たがる国なんじゃないかと思うことがある。それを変えていかなきゃいけないですね。『anan』や『non-no』のような女性ファッション雑誌の創刊が昭和40年代くらいですから、それらをリアルタイムに読んでいた人は今、もう70代くらいですよね。戦後の貧しい時代とは違って、若い頃からおしゃれ経験のある世代が高齢化してきているから、そういった世代はお年寄りになってもファッションに関心がある。

50代以上の女性をターゲットにした雑誌『ハルメク』が国内で一番の売り上げがあるそうだから、年を取ってもおしゃれに気をつかえる人が増えている。それはアンチエイジングにもとても効果があるように思いますよ。ココ・シャネルにしても、年を取ってから復活したわけだし、いつまでもおしゃれでいようという感覚はとても大事です。

中尾:50代をターゲットにするだなんて、昔だったらありえなかった。ましてや、私なんかもこの年齢で今もいろんな媒体で取り上げてくれる。少し前だったら、もうお役御免でしょう。

和田:私が中学生くらいの頃でしょうか、映画館に『砂の器』を観に行ったことがあります。そのとき、ボロボロの老人役をしていたのが、加藤嘉さんでしたが、当時はまだ61か62歳くらいでしょう。今の私よりも若い。昔は本当に“年寄り”が年寄り然としていた。

言い換えれば、年寄り臭くさせられていたとも言える。年寄りが若作りすると、「年寄りの冷や水」なんて非難されたわけですから。そう考えると、今はいい時代だと思います。

中尾:いい時代ですよね。だから、今がいいチャンスなんだから理不尽なことはどんどんと変えていけばいい。60代になったからこそ遠慮せずに、好き勝手にやるくらいがちょうどいいと思います。

※本稿は、『60代から女は好き勝手くらいがちょうどいい』(宝島社)の一部を再編集したものです。


60代から女は好き勝手くらいがちょうどいい』(著:中尾ミエ、和田秀樹/宝島社)

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