日常生活での困りごと

チックによって感じるこうした身体の不快感以外にも、この症状が続くことによって生まれる日常生活での困りごとがたくさんあります。

たとえば、僕のように重度の運動チックを持っている場合、日々の満員電車は地獄以外の何物でもありません。

右腕の筋肉は運動チックの症状だけで発達してきた(写真:『トゥレット症の僕が「世界一幸せ」と胸を張れる理由』より)

混んでいる電車内で勝手に腕などが動いたら、隣の人にドーンと身体が当たってしまうかもしれません。ひどいときは、気が付いたら、友人の腕や肩をバーンと叩いていたこともありました。

どんなに気を付けていても、チックの衝動が込み上げてきたら、たいていの場合は止められません。

だから、「いつ症状が出てしまうんだろう」と考えると、ドキドキして、電車に乗るだけでもひどいストレスにさらされます。

そのほか、日常生活で困ることの一例は、手がチックの症状で震えてしまうため、きれいに文字が書けないこと。

さらに、手を机などに打ち付けてしまうので、文房具を壊してしまうこともしょっちゅうです。

僕は絵を描くのが趣味で、デジタルで絵を描くペンタブ専用のペンを使っていたのですが、ひどいときは1日2本ほど壊してしまうことがありました。

デジタルペンは安くても2000~3000円するので、1週間に5000~6000円分くらいペン代に費やすことも……。

鉛筆で書けば安く済むのかもしれませんが、鉛筆だとますます芯も折れやすいし、折れた鉛筆を削るのも一苦労なので、デジタルペン以外はなかなか使いづらいのです。