中高年率高めの場内に安堵

場内に足を踏み入れて驚いたのは、客層に中高年女性が多かったこと。5年前に『さいたまスーパーアリーナ』で行われたライブの時は気にならなかったけれど、今回はどうも自分より先輩の50代、60代と見受けられる人が多い。

「(……松田聖子ちゃんのライブみたいだな)」

そう思いながら1階席に着席。四方八方、おばさんに囲まれる、おばさん(自分のこと)。なんて居心地がいいんだろう。ライブというと若手の領域という苦手意識が湧いてしまい、ここのところフェスもご無沙汰。多分、そう思う中高年も多いだろう。ところがこの会場は同年代と先輩と時折、後輩という客層。中には子どもを連れている人もいた。

そうだ。ここにいる人たちは皆、同士。ドリカムの歌に心潤された女子高生たちが、ちょっと成長して、同窓会に集まっているようなもの。今日は憧れの先輩=ドリカムの曲に酔いしれるのだ。自分の年齢は自宅に置いてきて、思い切り歌うのだ。

そんなことを考えているうちに、客電が落ちてライブスタート。

KEITA MARUYAMAの衣装に身を包み、2人が登場した。セットリストなど詳細はネタバレになるので、割愛する。これは会場に行く、成長した女子高生たちのお楽しみだ。

ちなみに参加した私……と申しますと。ボーカルの吉田美和さんの登場だけで涙腺が緩み、一曲目が終わる頃には涙が止まらなくなっていた。こうなるだろうと予測して、アイメイクをしてこなくて良かった。そんな私を見て、隣席の客が「え? もう? 泣いている??」と驚いていたけれど、感情は止められない。

その隣席客も含めて、客席が総立ちにならないところもいいなあと思った。アリーナ席と1階席の一部は立っていたけれど、私の席から見える範囲では2階席は90%以上が座っていた。そんな様子もステージに立つ演者たちが「もうお互い年だもんね」といわずもがな、認めているように見えた。

昔、某アイドルのライブに出かけた際、会場の東京ドームは全員総立ち。MCに入り、メンバーから「お話をするので、座ってください」と指示があると、後ろの席の50代と思しき女性たちの会話が聞こえた。

「良かった~、立ちっぱなしだと辛いよね」
「ねえ、膝がね」

当時、30代後半で元気に満ち溢れていた私は「……膝?」と、会話に疑問を覚えた。あれから時は過ぎ、今なら膝の辛さを訴えていた女性たちの気持ちが分かる。無理せず、立ったり、座ったり、自分のペースでいきましょうよ。日本を代表するアーティストが(おそらく)認めてくれているんだから。