2000年当時の見方

これを端的に示すのが、平成12年(2000年)の労働経済白書の、若年雇用問題に関する記述だろう。

この白書には「高齢社会の下での若年と中高年のベストミックス」というサブタイトルがついており、若年者の雇用・失業問題に1章が割かれている。

『就職氷河期世代-データで読み解く所得・家族形成・格差』(著:近藤絢子/中央公論新社)

この章では、フリーターの増加や離職率の上昇の原因として、景気の低迷による労働需要の減少と並べて、「職業に対する目的意識の希薄化」「(親の世代の)経済的な豊かさ」を挙げている。

若者の就業意識の変化として、仕事に対し具体的な希望のない高校生が増えていることや、そもそも正社員としての就職活動をしない大学生が相当数いること、フリーターを会社にとらわれない自由な働き方として肯定的にとらえる若者が増えている、といった記述が続く。

そして裕福な親の存在によって生活が守られているので、正社員として就業しなくても生活できてしまうことが背景として指摘される。

フリーターになるのも、就職したあとすぐに離職するのも、若者自身の意思による自発的な選択だという見方だ。