離職率の違い

一般に不本意な就職をした人ほど早期に離職しやすいことが知られているが、就職氷河期世代はバブル世代に比べて離職率も高い。次の表に、初職を3年以内に離職した割合をまとめた。

<『就職氷河期世代-データで読み解く所得・家族形成・格差』より>

専門学校卒では氷河期前期世代の離職率が後期世代よりもわずかに高くなっている一方、大卒では前期世代より後期世代のほうが5%ほども高くなるなどブレがあるものの、どの学歴階層でも、氷河期世代はバブル世代よりも3年以内に離職した割合が高い、という点では一致している。

ちなみに、就職して3年以内に中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が離職する現象を指す「七五三離職」という言葉があるように、他の統計では高卒の3年以内離職率はもっと高い。

学歴分布の偏りもあり、「社研パネル調査」は、「就業構造基本調査」などの政府統計に比べると信頼度が低いことは留意する必要がある。

とはいえ、就職氷河期世代の初職はその上の世代に比べて、製造業が少なくサービス業が多く、大企業が少なく、3年以内の離職率が高いという傾向は、2016年に大卒者のみを対象に連合総研が行ったアンケート調査(連合総研2016)など、他の調査でも確認されている。

就職氷河期世代は、少なくともすぐ上のバブル世代と比べて、卒業直後に比較的条件の悪い仕事に就くことが多かったのは間違いない。

※本稿は、『就職氷河期世代-データで読み解く所得・家族形成・格差』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


就職氷河期世代-データで読み解く所得・家族形成・格差』(著:近藤絢子/中央公論新社)

バブル崩壊後の不況期に就職活動をせざるを得なかった「就職氷河期世代」。

本書は1993~2004年に高校、大学等を卒業した人々を就職氷河期世代と定義し、雇用形態や所得、格差などを統計データから明らかにする。

データから見える現実、講じ得る支援策とは。