運動療法は有効な手段

Kさん(65歳・男性)は、長年患ってきた糖尿病の悪化により、腎機能も低下し、糖尿病腎症を発症しました。

医師から人工透析を勧められ、始めました。それと並行して、Kさんは運動療法を開始しました。人工透析が始まる前にエアロバイクなどで体を動かし、ほかに毎日30分のウォーキングや筋トレも実践したのです。

その結果、7%台だったヘモグロビンA1c(過去1〜2ヵ月の血糖値がわかる数値で、正常値は6.2%未満)が、5.5%と正常値内に落ち着きました。

血圧は、最大血圧が160mmHg台、最小血圧が90mmHg台だったものが、最大血圧が120〜130mmHg、最小血圧が70mm Hg 台まで下がり、安定するようになったのです。

人工透析を始めると、足腰が弱って、車イスが必要になる人も少なくありません。しかし、運動療法をしっかり続けているKさんは、足腰の衰えも感じず、腎機能もよい状態で推移しています。

このように運動は、落ちてしまった腎機能を回復させたり、今の状態をキープしたりするための有力な手段となります。

人工透析を受けることになったとしても、健康状態を維持するのにも役立つことがわかってきています。

※本稿は、『腎臓の名医が教える 腎機能 自力で強まる体操と食事』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

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腎臓の名医が教える 腎機能 自力で強まる体操と食事』(著:上月正博/徳間書店)

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